性交痛について
性の悩みの解説
性交痛とはセックスをする時に表面がこすれて痛い、腟の入り口が痛い、腟の中がヒリヒリ痛い、奥まで突かれると痛い……などいろんな種類があります。
これらの性交痛はどうして起こるのでしょうか?
セックスをすることが苦痛になってしまうこともある性交痛は人には言いづらい悩みですよね。
辛い性交痛を改善してパートナーとのセックスの時間を心から楽しむことができるように、まずはその原因を詳しく解説していきます。
性交痛が起こる原因は?
性交痛の原因は一つではありません。
セックスをするのが億劫になったり、怖くなる場合もある性交痛。
早く改善するために知っておきたい、さまざまな原因について詳しく見ていきましょう。
01
濡れない
ペニスを挿入する時に痛い、ピストン運動をしていると腟内が痛いという時の原因には、十分に濡れていないということが考えられます。
どうして女性は「濡れる」の?
セックスをする前の前戯によって性的興奮を感じた女性の体内では、オキシトシンというホルモンの働きで下半身に血液が流れ込みます。
血液が流入することで、腟の周りの毛細血管の血管壁が広がり、そこから愛液とも呼ばれる潤滑液が滴ってきます。
この潤滑液が出ている時が「濡れる」状態ということなのです。
濡れない原因
- 前戯(愛撫)が足りない
- 疲れている
- ストレスがある
- 久しぶりのセックス
- 女性ホルモン低下に伴う腟分泌量の低下
女性の体はとてもデリケート
肉体的な疲労感や精神的なストレスなどがあると、ホルモンバランスの乱れにつながり濡れにくくなる場合があります。
またまだ濡れていないのに無理やり挿入しようとするなど、パートナーの前戯に問題がある場合も多いと言います。
女性が気持ち良いと感じられない、的外れな愛撫や短くて雑な前戯だと性的興奮が得られず潤滑液が分泌されにくくなってしまいます。
さらに、女性の腟は最初にたっぷり濡れた後は徐々に乾燥して行くので、ピストン運動が長すぎるとだんだん乾いてしまって摩擦で痛くなる場合も。
02
女性ホルモンの低下
気持ちのよいセックスには女性器が濡れることが重要です。
そのために欠かせないのが女性ホルモン。
女性ホルモンはどうして減るの?
45歳〜55歳くらいの閉経前後の女性は更年期を迎えます。
この時期は女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が減っていき、色々な症状が現れます。
その中の一つが性交痛なのです。
更年期による性交痛は、女性ホルモン「エストロゲン」の減少が引き金になっておこります。
エストロゲンが低下すると
- 腟分泌量が減少して、濡れにくくなる
- 腟の保水レベルが低下して、乾燥しやすくなる
- 外陰部の皮膚や腟粘膜が薄くなり、ピストン運動の摩擦で傷つきやすくなる
そのほかにも、更年期にはイライラや憂鬱感、肩こり、不眠、腰痛など人によって違うさまざまな症状が現れます。
そんな時に、パートナーの要望に応えてセックスを始めても思うように「感じる」ことや「濡れる」ことができず、性交痛を感じてしまう……という人も。
痛みを軽減するために、腟のうるおいをローションやジェルで補ったり、不足している女性ホルモンを補う治療を病院で受けると性交痛が改善します。
03
運動器系の疾患
女性ホルモンであるエストロゲンは妊娠に影響するだけではなく、骨や筋肉、関節にも影響しています。
女性ホルモンが低下する更年期から一気に骨粗しょう症が増えるのも、実はエストロゲンが骨に作用するから。
エストロゲンの低下によって関節が硬くなり、性交痛をおこしやすくなります。
そして、セックスの時、下半身を露出することで冷えがおこり、腰痛や坐骨神経痛を悪化させる人もいます。
腰痛症がある方は、体位によっては腰の負担が大きくなるので、セックス後に腰痛が悪化したり長引くこともあります。また、股関節が硬くなるので、股関節を大きく曲げたり、広げたりする体位で痛みを感じることも。
腰椎椎間板ヘルニアや変形性股関節症などが原因の場合には、ストレッチで柔軟性を上げ、運動などで筋力をつけることも大切です。
性交痛の原因として腰痛や坐骨神経痛などが考えられる場合は、パートナーの体調によって体位を変えることがおすすめです。
そうすることで、パートナーの体をいたわる思いやりやコミュニケーションが性交痛をやわらげます。そして、セックスが二人だけの大切な時間に変わります。
04
婦人科系の疾患
濡れているけれど痛い、痛みが非常に強いという時には婦人科系の疾患を疑います。
子宮内膜症
子宮壁にコブのようにできて、閉経後は小さくなっていくことが多い良性の腫瘍です。
生理痛や貧血、便秘、頻尿などの症状が現れる病気で、場合によっては不妊の原因にも。
筋腫の大きさやできる場所によってはセックスをした時に痛みが現れます。
子宮筋腫
クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症で、男性よりも女性に多い病気です。
性交痛の他にも下腹部痛、排尿痛、おりものが増えるなどの症状が現れます。
放置してしまうと、子宮外妊娠や不妊症などにつながる可能性があるので、早めの治療が必要です。
クラミジア感染症
カビの一種のカンジダという微生物によって外陰部や腟内が炎症を起こす病気。
もともと私たちの皮膚や腟の中にカンジダは存在しているのですが、その量が突然増えた時にさまざまな症状が出てきます。
女性の10人に1人は発症している一般的な病気の一つ。
カンジダ外陰腟炎
女性ホルモンであるエストロゲンは妊娠に影響するだけではなく、骨や筋肉、関節にも影響しています。
女性ホルモンが低下する更年期から一気に骨粗しょう症が増えるのも、実はエストロゲンが骨に作用するから。
エストロゲンの低下によって関節が硬くなり、性交痛をおこしやすくなります。
そして、セックスの時、下半身を露出することで冷えがおこり、腰痛や坐骨神経痛を悪化させる人もいます。
05
体位
濡れていて、挿入も痛くないけれど後背位での行為は痛く感じる……という女性は少なくありません。
後背位でのセックスで性交痛を感じるのはなぜ?
女性の後ろから男性が挿入する後背位の場合、正常位などに比べて男性のペニスが腟の奥まで届きやすくなります。
そのため、
- 奥までペニスが届くセックスに慣れていない
- 腟の大きさと男性のペニスのサイズが合っていない
- 突き上げられるセックス
などで性交痛を感じてしまうのです。
また、男性と女性の身長差が大きい場合に腟の位置とペニスの位置が合わずに痛みを感じることがあります。
06
精神的な理由
過去から引きずっているトラウマなどから性交痛が現れることがあります。
性交痛を引き起こす精神的な問題
- 過去のセックスがすごく痛かった
- 過去のセックスがすごく怖かった
- セックスはいけないことだと教えられて育った
- パートナーへの愛情がない、不満がある
などといった強いストレスやトラウマによって、濡れにくくなったり、痛みを感じてしまうのです。
解決しないままだと悪化する
精神的な理由での性交痛は、セックスに慣れれば治るものではありません。
パートナーと話し合うなど、原因となっているトラウマやストレスを解決することが必要です。
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セックス以外でも痛みがでる場合
セックスしている時以外でも痛い、排尿排便の時に痛い、下腹部が痛い……といった場合はまず病院へ。
濡れているけれど痛い場合には、何かしらの病気が隠れているケースが考えられるので、原因を知るために早めに病院で診察を受けましょう。
我慢しないで痛みに合わせたケアを
性交痛の悩みは深刻だけれど相談しづらいもの。
でも、痛いのを我慢し続けていてはセックスの時間が楽しくありませんよね。
我慢をしなければならない状態では性欲だって湧きません。
感じづらくなると濡れにくくなり、余計に性交痛が辛くなる悪循環に……。
- ローションやジェルで濡れにくさをサポート
- 愛情を感じる前戯で「したい」気持ちを高めて
- お互いが気持ちよく感じる体位でセックス
- 痛みが強い場合には我慢せずに病院へ
痛みを改善して、「感じるセックス」を楽しむことができるように、自分に合ったケアを始めましょう。